近年、SNSやYouTubeを通じて「簡単に儲かる」「誰でもできる」といった甘い言葉で個人投資家を誘うビジネスが増加しています。
その中でも特に注目を集めたのが、華やかな生活スタイルと圧倒的な実績を謳っていた人物「かけるん」こと菊池翔氏と、彼が代表を務めていたエクシア合同会社です。
数千人規模の出資者を集め、総額数百億円もの資金が動いたとされるこのスキームは、表向きには高度な金融技術に基づく投資事業と説明されていました。
しかしその裏では、配当停止や返金トラブルが続出し、最終的には破産手続きにまで発展しています。
なぜこれほど多くの人々が「エクシア」を信じ、資金を預けたのか。
そして一体、何が問題だったのか。本記事では、エクシア合同会社と菊池翔氏にまつわる一連の動向を追いながら、個人投資家が学ぶべき注意点について掘り下げていきます。

人を引き付ける魅力がある人でも詐欺トラブルにまで発展しますので、ネット上だけで判断するのはやはりリスクがありますね。
菊池翔(かけるん)とは何者か?


SNSやYouTubeなどで投資界隈に一定の存在感を示していた人物「かけるん」こと菊池翔氏。
1977年生まれとされ、過去にはファッションの専門学校を卒業したという情報もありますが、その経歴には曖昧な部分も多く、詳細は不明です。
彼は「エクシア合同会社」の代表社員として知られており、「金融のプロ」「圧倒的なトレード実績を持つカリスマ」として多くの投資家にアプローチしていました。
特にSNSでは高利回りや安全性を強調し、多くの個人投資家を惹きつけました。
なかには「年利2520%」といった驚異的な実績を謳う資料も存在しましたが、それらの真偽を裏付ける確かな根拠は確認されていません。
また、プライベートでは高級時計や高額なプレゼントを贈るなど、派手な生活ぶりがたびたび話題となり、人気キャバ嬢との交際も報じられたことがあります。



ネット上の情報が全て正しいということではありませんが、有名な人物であったことは間違いないでしょう。
エクシアの菊池翔(かけるん)が注目された理由
彼が注目を集めた最大の理由は、単なる「投資家」という枠にとどまらない卓越した発信力と演出力にあります。
SNSやYouTubeでは、高級外車やラグジュアリーホテル、高級ブランド品に囲まれた私生活を頻繁に投稿。
そこには成功者としてのイメージを巧みに構築し、視聴者に夢や憧れを抱かせる演出が凝らされていました。
また、フォロワーとの距離を縮めるような親しみやすい語り口や、自信満々な語りによって、「この人についていけば間違いない」と感じた出資者も少なくありませんでした。
特に、投資初心者や情報弱者層にとっては、複雑な金融商品よりも「人」を信じる傾向が強く、その心理を突いたアプローチだったと考えられます。
このように、彼の影響力は単に金融知識の有無だけではなく、「ブランド化された自己演出」によって支えられていた側面が大きいと言えるでしょう。
エクシア合同会社の投資スキームと出資者の動向


菊池氏が代表を務めていた「エクシア合同会社」は、表向きには「為替や不動産、プライベートエクイティ等への分散投資によって安定したリターンを提供する」ことを目的とした投資会社として活動していました。
エクシアは、主に以下のような特徴を前面に打ち出して出資を募っていたとされます。
- 高利回りを継続的に実現
- 安定性の高いポートフォリオによる運用
- 毎月の定期的な分配金支払い
- 一定期間経過後の元本返還保証(のように説明されていた)
こうした説明により、個人投資家を中心に約9,000人以上が出資。総額は約850億円にのぼるとされ、非常に大規模な資金が動いていたことがうかがえます。
しかし、後述するようにこのスキームには重大な問題があったと見られており、被害を訴える声が相次いでいます。



高利回りを継続的に発生させることは、簡単なことではありません。あたかも誰でも出来るというような表現がされている点は、他の副業を行う際の注意点としても参考にしたいですね。
エクシア合同会社は出金停止と破産開始


2023年後半頃から、エクシアに出資していた複数の投資家が「分配金が支払われない」「元本が返金されない」とSNS上で投稿し始め、やがて出資金の出金停止が広範囲に発生していることが明るみに出ました。
当初は「システムの不具合」や「為替相場の急変動への対応」といった説明がなされていたようですが、その後も改善されず、事実上の資金ショート状態に陥っていたと見られます。
そして2024年10月、東京地方裁判所により破産開始決定が下され、エクシア合同会社は法的に事業継続不能であることが確定しました。この決定を受け、出資者による債権届出や損害賠償請求が相次ぐ事態に発展しています。
さらに、破産に至るまでの間に「ポンジ・スキーム」の疑いが強まっており、つまり新規出資金を既存投資家への配当に回すことで成り立っていたのではないかという指摘が複数の弁護士や金融関係者からなされています。
ポンジスキームとは、実際の投資運用を行わず、新規出資者から集めた資金を既存出資者への配当に充てる詐欺的手法です。
表面上は高利回りを装い、信頼を得てさらに資金を集め続けますが、運用実態がないため、資金が途絶えた時点で破綻します。
エクシア合同会社もこの仕組みを疑われており、出資者への返金停止や破産手続きがその疑念を強めています。



ポンジ・スキームは過去にも何度も発生しており、有名な例ではアメリカのバーナード・マドフ事件などがあります。日本でも複数の類似事件が起きており、「高配当を保証する」という甘い言葉には常に注意が必要です。繰り返される詐欺の手口として、今後も警戒が求められます。
エクシアの菊池翔氏の所在と今後の焦点


問題発覚後、代表である菊池翔氏はSNSでの活動を停止。一部では「ドバイへの逃亡を試みている」「国外に出た可能性がある」などの未確認情報も流れましたが、正確な所在や動向は依然として不明です。
また、エクシア合同会社の破産手続きが進む一方で、菊池氏本人がどこまで責任を負うかについては議論が分かれています。法人を盾にして「個人としての責任はない」とする主張がなされている一方で、多くの被害者が民事訴訟や刑事告訴の準備を進めているとも報じられています。
現在のところ、菊池氏が公的な場で謝罪や説明を行ったという記録はなく、関係者からの説明責任も果たされていない状況です。
詐欺罪としての刑事告発がなされる可能性もあるものの、実際の立件には一定のハードルが存在します。
高利回りを謳うスキームの注意点
今回の件を通じて、投資に関する根本的なリスク管理の重要性が改めて浮き彫りになりました。高利回りを謳うスキームには常に疑問を持つべきであり、以下のような特徴には警戒が必要です。
- 実際の運用状況が開示されない
- 外部監査や第三者の確認が存在しない
- 出資者との契約が曖昧または一方的
- SNSや口頭での勧誘が主で、公式文書が整っていない
さらに、SNSによる影響力拡大と「キャラクター性」による信頼感の演出も、今回の被害拡大に一役買ったと見られます。
いわば「カリスマ性による錯覚」が投資判断に大きく影響した事例とも言えるでしょう。
また、「みんながやっているから安心」「今すぐ始めないと損するかも」といった気持ちが、正しい判断をする力を弱めてしまった人も多かったようです展



投資は人を信じるだけじゃなく、ちゃんと中身を見極めることが大切です。焦らずに情報を集めて、冷静な判断を心がけたいですね。
まとめ:エクシア合同会社(かけるん)菊池翔はポンジ・スキームである可能性が高く破産手続開始
エクシア合同会社と菊池翔氏を巡る一連の問題は、単なる個別の投資詐欺事件にとどまらず、現代の投資環境に潜む構造的なリスクを浮かび上がらせています。
多くの個人投資家が「信じたい」「儲けたい」という思いを持つことは自然ですが、その裏には必ずリスクが存在します。特に、SNSや派手な演出、過去の実績を強調するだけのスキームには注意が必要です。
今後、エクシアの破産手続きが進む中で、出資者の資金がどこまで回収されるのか、また菊池氏本人に対して法的責任がどのように問われるのかが大きな注目点となるでしょう。
同様の事例を繰り返さないためにも、私たち一人ひとりが「情報の取捨選択」と「冷静な判断力」を持つことが、何よりも重要です。
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